vol.3「彼女と〈読書〉と角田光代」
鹿児島市で読書会を中心としたイベントを企画する女性3人のユニットがREADのお願いをしたところ、「ランチを兼ねてぜひ」とのこと。さすが「read,eat,and drink」をコンセプトにしているだけあるなあ、と感心しつつ、普段一人ではまず行かないようなおしゃれなお店でのインタビューと相成りました。当初は3人全員にきていただく予定でしたが、当日どうしえも都合がつかないということで、ミホコさん、チサトさんのお二人にお話を聞くことに。インタビュー、というよりはREADさんの読書会に混ぜてもらったような感じで、『紙の月』を課題本にして、彼女たちの読みを語ってもらいました。
取材日:2016年12月 場所:アンボワーズ*1 文/編集:ふくちあつし
女の人はみんな理想の自分を買いたいんだなあ
——簡単に自己紹介をお願いします
ミホコ:主婦です!四月に鹿児島に来たばっかりです
チサト:来たばっかりなんだよね、実は。何年も付き合ってるような気がするけど
——チサトさんは?
チサト:私はすぐそこで英会話教室をやってます
——普段はどんな本を読むんですか?
ミホコ:基本は小説です。国内外半々くらいずつですかね
チサト:でも詳しいよね、外国の本のことも
——チサトさんもそんな感じですか?
チサト:私は中学生のときに読んだ『こころ』*2から始まってるんですけど、それまでは全然読んでなかった。読書感想文で読んだのね。なんで中学生に『こころ』を読ませるのかわかんないけど。まあそれですごいハマって、そこから小説の裏に乗ってる本の名前を順に読むようになりました
——角田光代さんを最初に読んだのはいつなんですか?
チサト:ごめんなさい、あんまり読んでなくて……。でもあのレシピのついてる、『彼女の献立帳』とかは好きで何冊か持ってるけど、全然詳しくない。これからです
ミホコ:これからだね〜
——今日は一応READの読書会と同じような感じで二人に『紙の月』を中心に話をしてもらえたらと思ってるんですが
チサト:えー、でも普段の読書会はお酒が入ってるから(笑)
——ちなみにぼくはまだREADの読書会って行ったことないんですが、どんな感じなんですか?
ミホコ:ほんと普通の読書会よ
チサト:課題本決めて、どう思ったかみたいなところから入って、そこから奥深く入っていく感じかなあ
——それじゃあ早速ですが、どう思ったか、教えてもらえますか
ミホコ:いろんな人物がリカさんを中心に出てくるけど、女の人はみんな理想の自分を買いたいんだなあ、って読んでて思いました。リカさんも欲しかったのはコウタじゃなくて理想の自分なんだろうなあって。でも理想の自分がどこかににいると思ってる時点でまだ甘いわよって気はする。でも最後のところで角田さん的にはリカがそこから抜け出したって書いてるのかなって思ったの
——抜け出した。でも彼女は国境を超えれてはいないんですよね
ミホコ:超えたらむしろダメだった気がするのね、私としては。超えたらまだ追いかけ続けてる。国境を超えたらまた、いまの自分は一部でしかなくて残った自分を探しにいってしまうのかなと思うんだけど、そこであえて踏みとどまって捕まる道を選んだ彼女は、自分を受け入れたのかなっていう。まあいい加減やめろよって話なんだけど
チサト:私は読んだ時に、すごい極悪人が出てくるわけでもなく淡々と進んでいて、全体的に魅力的な人物が一人もいないってことに気付いて。女としての部分はわかるところもあるんだけど
ミホコ:ところどころわかるところはあるんだけど、誰か一人に感情移入はできなかったかな
チサト:コウタもすごい魅力的な男ってわけじゃないじゃないですか
ミホコ:割と、ダメだよね
チサト:貧乏大学生で、夢追っかけててみたいな。旦那さんにしても、暴力振るうわけでもない、お金を渡さないわけでもない。けど、リカにとってはいつも違和感のあるような発言をしていて。旦那さんが自分より上に立ちたいっていうのに違和感があるけど、でも自分も結局コウタに同じようなことをしてるよねっていう、そこの矛盾。一緒じゃないかって思ってしまう
——男性からのマウンティングっていうのは角田さんの小説のひとつのパターンですよね。一人の女性としてお二人はそのへんどう感じますか
ミホコ:実際そういう思いをしている友達はいるよね
チサト:口に出さなくても常に褒められたい願望が大きい気がする、男の人って。「がんばってるね」とか。ちなみにふくちさんって鹿児島出身?
——ぼくは群馬ですよ
チサト:あ、そうなんだ。だからなんか鹿児島男子っぽくないなと思った
——鹿児島男子ってどんななんですか?
チサト:鹿児島の人と結婚した地元の友達の話とか聞くと、びっくりすることはある。そんなこと言うのって
チサト:私はすごく違和感があったシーンがあって、コウタに大学ってどうなってるのって聞くところ。コウタはもう辞めてて「ほんと僕に興味がないんだね」って答えるんだけど、そこにすごく違和感があって。これだけ貢いでるのに
——それはどっちに対しての違和感ですか
チサト:コウタに対してなんだけど、そもそもそこに最初から愛はなかったのかなっていう。これだけ貢いで愛情表現してるつもりだったけど、結局リカがコウタにとってお祖父ちゃんと同じような存在になっちゃったのかなっていう。コウタはお祖父ちゃんにすごい嫌悪感をもってるじゃないですか。お金を持ってるけど愛がなくてみたいなところに反発してて。だからそういうところに被ってしまったのかなって、後半のリカが。それで結局「興味がないんだね」って言っちゃう、その心理にゾッとした。「何この子??」って
ミホコ:私はリカのほうにゾッとしたかな
——リカが旦那さんが自分に興味を持ってないと思い込んでいることも反復してますよね。いま「貢いだのに」って言い方をされていましたが、「貢いだ“から”」愛情が損なわれてしまったって考え方もできる気がしたんですけど
ミホコ:うーん、それもあるかもね
チサト:最初は愛情を持ってたわけで、やっぱりお金のせいかなとも思うよね
ミホコ:お金をあそこで渡していなければどうなっていたんだろうね
——最初にコウタが愛情を持ってたのかっていうところからちょっと僕は疑問で。これって若さ来る性欲じゃないんですかね
チサト:それは私は違うと思う
ミホコ:どうなんだろうね。自分の世界にはいなかった人だから、まぶしかったんだろうとは思うけど、それが愛なのかって言われると。自分を違う世界に連れてってくれる人って思ったのかなって気はしたんだけど
——リカがコウタに惹かれたのも同じですよね。自分とは違う世界の人間だって
ミホコ:ただ彼女は、学生時代にボランティアで外国の子供にお金をいっぱい送っていたのとやってることはそんなに変わんないような気はする
チサト:お父さんお母さんのお金をそのまま送金してたわけだし
——横領して男に貢ぐのとそんなに変わらないと
チサト:そこで優越感が発生してる
——学生時代のリカについて語られる情熱的な姿と、本人の淡々としたトーンの語りにぼくはすごく違和感があったんですが、どうでした?
ミホコ:やっぱり語っている木綿子の目が彼女を美化しすぎている感はあるよね
チサト:してるよね、やっぱ憧れの対象だったから。でもどうして彼女はそんなにリカに憧れたんだろう
——でも若い時ってやたらと過大評価してた友達とかいませんか
チサト:あー、いるね。高校の頃とかとくに
ミホコ:うーん、あるねぇ。でも木綿子はまだその呪縛からとかれてないってことだよね。いま私たちはわかるじゃない、過大評価だったって。あの子そうでもなかったねっていうのが、まだわかってないのかなっていう
チサト:わかってくる頃だよね、30過ぎて
ミホコ:彼女にはほかに友達がいる感じがしないし、家の中だけだからそこで止まってるのかな。彼女のあの子供のためにっていう節約の仕方もショッキングだった
——作中にはその親子以外にもいくつかの親子が描かれていますが、そこはどう感じましたか
チサト:私はずっと子供をほったらかしにしてたから、ウチに籠ることはなかったですよ。なんか逆に、一緒に過ごしてあげることが少なかったので。でも私が一番共感したのはあの編集者の人かな。もし自分が離婚して子供をあっちに取られちゃってってなった時に、それ以外に自分をひきつける手段って思いつかない。私が小説の中では一番「これは私もやるかも」って思った
ミホコ:私も思った!
——最後のシーンで、子供に財布扱いされることを拒否して、抱きしめるところがあるじゃないですか。あのシーンはこの小悦の中では一番ポジティブなシーンに感じたのですが
ミホコ:彼女がちゃんと自分のやってることを理解できたから変わっていけるんだろなって気がする。もしかしたら娘との関係はもうダメかもしれないけど、彼女は彼女なりにやっていけるだろうなって思う
受動態なの、彼女
——ミホコさんは『紙の月』以外だと『対岸の彼女』なんかも読まれたそうですが、どうでしたか
ミホコ:あれは激怒した
——激怒。どのあたりに?
ミホコ:アオイとサヨコにイライラして。なんか最後はいい感じになってたけど。まずアオイの働き方が許せないのね。「あんなの社員が暴動起こすわ」って。怒ってるほうが間違ってる風に書かれてるけど、実際怒って仕方ないようなやり方を彼女はしていて。みんな離れてってサヨコが戻ってくるけど「コイツはまたやるな」って感じがある。結局、高校時代の友人を通じてしか相手を見れてないなって言う。アオイはナナコみたいに振る舞うことが気持ち良かっただけだし。サヨコも友達が欲しかっただけっていうか
——うーん、そうかあ……
ミホコ:あくまで私の読みだけどね
——ミホコさんはいまは専業主婦で子育てされてますけど、以前は働かれてたんですよね
ミホコ:うん、転勤族だから、最初の引っ越しの時にやめました
——その時に葛藤とかはありましたか
ミホコ:うーん、正直やめたかったので(笑)。ちょっともうキツイってなってたから。「新天地に行きたい!」みたいな。でも働きたくないわけではないから
——「働きたい」と「いまの仕事を続けたい」はまた別ですもんね。「この職場はキツイ!」みたいなのはあるし
ミホコ:そこはしょうがないよね(笑)
——「働く」って観点から、チサトさんは何か思うとことはありますか?
チサト:旦那さんからの尊敬、お金、そしてコウタの三つだけがリカにとってすごく大切なものとして描かれていない気がして、どこまで仕事をがんばっていたんだろうって思った。まあ好かれてはてはいたわけだから優秀ではあったんだろうけど
ミホコ:でもそれは優秀っていうか、彼女のなんでもするする受け入れちゃう人柄というか
チサト:そうそう、受動態なの、彼女。なんでそんなにってそこにすごく違和感を感じたの。旦那さんともちゃんと会話できてないから、こういうこといわれたら嫌だよっていうのが言えない。夫婦としてもあり方が崩壊してる、もう全部受身だから。
——そもそもなんで結婚したかともよくわからないですよね
ミホコ:なんか流されてる感じ
チサト:結局そこも受身だったんじゃないかな
ミホコ:進路選びもわりと流されてっていう感じだったし
——でも一方で、どこか流されきれない部分があって、だから銀行に勤めてみたりとか、コウタとかかわってみたりしたんじゃないでしょうか
ミホコ:うーん、そうねえ。流されきれない部分か
——お二人はどうですか、これまで受動態じゃなく生きてきたって言う実感はありますか?
チサト:ミホコさんは自分の思うものを手に入れてるイメージがある(笑)
ミホコ:そんなことないそんなことない!就職も大学もなりゆきだったなあって感じはする
チサト:えー、うそー
ミホコ:それこそさっき、いい加自分探しやめなよみたいなこといったけど、それは自分がそうだったからそう思うわけで。もっと素敵な自分がいるはずだってすっと思ってた
チサト:それは永遠のテーマだよね
ミホコ:でも、いないじゃん。いないことに気付よっていう
——そこなんですよね。他人のことはいくらでも受け入れてしまえるのに、自分のことだけは受け入れられない
チサト:私は結構、自由奔放に。そしたら流れ着いたのがここだったみたいな。仕事にしてもなんにしても。なんか関係あるのかわからないけど、私3人兄弟の一番下で、ほんとほったらかしだったんですよ。体操着二ヶ月でも持って帰らなくても何もいわれない、みたいな。プリントとかもランドセルに入れっぱなしだったし。でも、ちゃんと上の兄弟を見て、ああ、こうすればいいんだなみたいのはわかってたから、要領がいいというか、そういう意味では計算高いのかもしれない
——じゃあどちらかというと戦略的に生きてきたわけですね
チサト:考えたことなかったけど、そうなのかも
こんなんじゃないよ!女の友情は
——『紙の月』男女の関係だけじゃなくて女性同士の関係も描かれているじゃないですか
チサト:料理教室で再開したりとか
——そうです。嫉妬したり、あこがれたりっていう。そこは女性目線でどんな風に感じましたか
ミホコ:角田さんってあんまり女の友情を信じてない人なのかなって(笑)こんなんじゃないよ!女の友情は
チサト:こんなにバチバチはしてないよ、ってこと?
ミホコ:なんていうか、キャリアウーマン対専業主婦みたいな類型的な図式になりすぎてるっていうか。立場とか関係なくもっと女の友情は深いよ!それは登場人物たちが友達を作れないタイプの人間だよってことなのかもしれないけど……。だから小説の書き方としてはある意味では成功してるのかもしれないですけどね
——ちなみにお二人はどうやって知り合ったんですか
チサト:たまたま読書会で隣になって、ご飯食べるようになったんだよね
ミホコ:趣味もあったしね
——共有できるものがあると、関係が築きやすいですよね。『対岸の彼女』の最初のほうでアオイとナナコが「サザビー」とか「オザケン」とか、固有名をたくさんあげて会話をしてるシーンがあるじゃないですか。固有名でつながれることってあると思うんですよね。それこそ「こころ、読んだことある?」とか。現実でもそうなんだろうけど、ナナコとアオイにしても、『紙の月』の女性にたちにしても、そういうつながりが失われてしまっていますよね
ミホコ:共有できるものがないっていうのは、立場の違いとかよりさらに関係作るのが難しいかもね
チサト:男性の友情ってどんな感じなんですか?大人になってからなにか変わりました?
——うーん、それはやっぱりお互いの経済状況とか多少は気にするんじゃないですかね
チサト:たとえば同窓会とかで集まったりしたら、そういうところ意識するんですか?
——みんながそういう部分を意識してうからこそ、そこには逆に触れないようにするっていうのはあるかもしれないですね。経済状況があきらかになるような話はあんまりしない、とかね。まあでもそもそもぼくは友達があんまりいないので友情の話はわからないですよ
チサト:それは友情のハードル高いから
「ここはセラピーじゃありません」
——まあだから男の友情のことはわかんないですけど、読書会とかやればいいのになって。リカとかアオイも
チサト:だからだから
——読書会とかなかったら、どうなってたと思います
ミホコ:しんどいねえ
チサト:私は読書会をやるようになってすごい世界が広がった気がする。本を読むことって広がりのないもの、自分のなかで楽しむものだと思いこんでたから。意見交換して、みたいな世界を知れたのは良かったと思ってる。ミホコさんとかには色んなことも教えてもらえたし
——ミホコさんは転勤族というですが、ほかの土地でも読書会はしてたんですか?
チサト:自分で読書会企画してやってたりしたんでしょ?
ミホコ:そうそう。じゃないと知り合えないと思って。読書会でもしないと生きていけないなって
チサト:そういう行動力がすごいよね
——読書会って人付き合いのツールとしてかなり強力ですよね
ミホコ:それこそ社会な地位とか関係なく付き合えるよね。だって何をしてる人とか知らなくてもかまわないわけだし
チサト:本のことで集まってるわけだからね
ミホコ:でも本を語ることで自分を語ることにもなってるわけだから、そういう意味では肩書き抜きでその人のことを知れるし
——全然違った立場の人たちが集まってるほうが面白いですしね、色んな読みがあるから
チサト:いま、自分のことを語るって言ったじゃん。でも読書会とかしてると自分の人生と重ねすぎちゃって……みたいな人もたまにいると思うんだよね。だから私たちの読書会ではまず「ここはセラピーじゃありません」って
ミホコ:ひとつしか読みがないって思っちゃう人には読書会はつらいかもね
——そうかー、READはセラピーはしないんですね
チサト:それはやめとこうって最初に。でも大々的には言えないんだよね
ミホコ:でもいまのところそういう感じになってないから良かったよ。本を読みなれてる感じの人が多いからみんな冷静だよね。でもセラピーとかカウンセリングみたいなのも、全部否定すべきだとも思わないけどね。そうでないと語れないことや本ってあると思うし。私たちはあんまりそっち寄りじゃないってだけで
——逆にお二人はどんな風に小説を読むようにしてるんですか?難しい質問かもですが
チサト:私は現実逃避です。究極の現実逃避として読むので。疲れてても忘れられるじゃないですか、色んな世界にいけて。私一番好きなのが時代小説なんですよ、池波正太郎とか。それはやっぱり全然違う世界に行けるから
ミホコ:私もどっちかっていうと読書で違う世界をみたいタイプ。外国の小説とか自動的に別の世界にいけるのが面白いってとこがあるし
——でもそれだと角田さんの小説だとあんまり逃避できなさそうですよね。現実に張り付いた小説じゃないですか
チサト:そうだから、すごい疲れた。でももし理性を取っ払ったら自分もお金に手をつけちゃうのかなとか、そういう想像はできるよね
ミホコ:角田さんはすごいうまい作家さんだとは思うんだけど、私たちの読書会にはあんまり向いてない作家さんなのかなとも思うかも
——ちなみに次の読書会の予定はなんでしたっけ?
チサト:三島の『美しい星』*3。前日だよ、角田さんの。トークライブ実行委員会のUさんも準備が終わったら来てくれるって言ってたよ))
——ぼくも行きたいけど、もう東京にいるかもなあ。でもなんかREADの三人が読書会を始めるって聞いて、もっと海外文学とかやるのかなと思ったら『こころ』『美しい星』と、割と日本近代文学のクラシックをやってますよね
チサト:そのほうがやりやすいから
ミホコ:本も手に入れやすいしね
——でも最近、昭和に書かれたポップな小説がリバイバル的に評価されだしてますよね
チサト:だからだから!
——今後のREADはどんな感じでやってくんですか?
ミホコ:読書会だけじゃなくて色んなイベントとかやりたいねって話してたんですよ
——この前クリスマスにやられてたイベント*4も楽しそうでしたね、ぼくは行けなかったんですが
ミホコ:閣内も国外も、小説もノンフィクションもエッセイも、科学っぽいものまで色々もってきてもらえて楽しかったですよ
チサト:「緑」と「星」ってテーマも良かったよね。宇宙系が多かったよね、だから
ミホコ:「星」で星新一と星野源とか。そうきたか!みたいな。名前にかけるって全然思いつかなかったから(笑)
——なんかやっぱり鹿児島の読書界隈がにわかに盛り上がってきてますよね。ここで鹿児島を去るのがもったいないような気がしてきます。……今日の話の結論としてはリカもアオイも、みんあ読書会をやれってことでいいですかね?
ミホコ:彼女たちもやれと(笑)なんだろう違う価値観の人間をもっと知ったほうが良かったんだろうなって、みんな
チサト:そうそう、世界観が狭かったんだよ、結局
——それって、さっきの一個しか読みを持ってない人が読書会キツイって話とも通じる気がします
ミホコ:自分の子供たちに自分の子供のころと同じような暮らしをさせたいっていうのうも、その暮らししか知らなくて、それ以外は全部間違ってるからだと思ってるからだし。それはもったいないことだよね
——『紙の月』はあえて一人の登場人物に一つの世界観って感じで類型的に書いてる部分はありますよ。実際の人間はもっと矛盾してるじゃないですか
ミホコ:彼女たちをみんな合わせてちょうど一人になるくらいかもね